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東京高等裁判所 昭和52年(ネ)93号 判決 1980年1月30日

控訴人

山田喜一

右訴訟代理人

横川紀良

被控訴人

日野雄三郎

被控訴人

斉藤吉郎

右両名訴訟代理人

木村賢三

中山新三郎

主文

一  原判決中、被控訴人斉藤吉郎に関する控訴人敗訴部分を取り消す。

被控訴人斉藤吉郎は、控訴人に対し、更に、別紙物件目録(一)の土地及び(三)の建物につきなされた別紙登記目録(3)の、別紙物件目録(三)の建物につきなされた別紙登記目録(4)の各根抵当権設定登記につき、それぞれ昭和四一年二月二一日代位弁済を原因とする抵当権移転の附記登記手続をせよ。

被控訴人斉藤吉郎は、控訴人に対し、更に、別紙書類目録(イ)のうち、(一)の土地及び(三)の建物並びに同(ロ)のうち、(三)の建物についての書類を引き渡せ。

二  原判決中被控訴人日野雄三郎に関する部分を取消し、同部分を前橋地方裁判所に差戻す。

三  控訴人と被控訴人斉藤間の訴訟費用は、第一、二審とも同被控訴人の負担とする。

事実《省略》

理由

一被控訴人斉藤に対する請求について

当裁判所は、控訴人の被控訴人斉藤に対する請求はすべて理由があると判断するが、その理由は左記に付加、訂正するほかは原判決理由の「一 被告斉藤吉郎に対する請求について。」と題する説示の部分(原判決七枚目裏六行目から一三枚目表六行目まで)と同一であるからこれを引用する。当審における主張、証拠調の結果も右判断を左右しない。

(一)  原判決八枚目表八行目に「六三一番の一部」とあるのを「六三一番(ただし当時の地番)の土地の一部」に、同九枚目裏三行目「三六一番」から五行目末尾までを「六三一番(ただし当時はすでに分筆されて六三一番の一となつていた)の土地を分筆した結果、前記控訴人への賃貸土地部分は六三一番三(別紙物件目録(二)の土地)となり、その後右六三一番一から六三一番四、次いで六三一番五が分割され、昭和四一年三月以降現在の六三一番一の土地(別紙物件目録(一)の土地)が元番の土地として残つたこと、」に改める。

(二)  同一一枚目裏一行目から二行目にかけ、「右(二)の土地、(四)の建物に関する限りにおいては、」とある部分を削除する。

(三)  同一一枚目裏五行目「被告斉藤」から七行目末尾までを「控訴人が高橋四郎に対し取得した事務管理に基づく費用の償還請求権の範囲内において、被控訴人斉藤吉郎の有した前記被担保債権のほかこれを担保するための(一)、(二)の土地及び(三)、(四)の建物についての(イ)抵当権、(三)、(四)の建物についての(ロ)」と改める。

(四)  同一一枚目裏九行目から一二枚目表一行目までを削除し、同一一枚目裏八行目の次に、左記を加入する。

「なお、控訴人が本件弁済供託を前橋地方法務局にしたことの適否について判断するに、弁済のための供託は債務履行地の供託所になすことを要するが(民法四九五条一項)この場合、債務の履行をなすべき場所の属する最小独立行政区画(市町村等)内に国務局又は地方法務局あるいはその支局又は法務大臣が供託事務をつかさどる旨指定したその出張所(以下これらを「供託所」という。)があるときはその供託所に供託すべきであるが、そうでない場合は、債務履行場所を基準にして、交通の便などを考慮して社会通念上相当と考えられる供託所に供託をなせば足りると解するのが相当である(大審院昭和八年五月二〇日民集一二巻一二一九頁参照)。本件についてみると、<証拠>によると、控訴人が被控訴人斉藤のために供託をした昭和四日年二月二一日当時における同被控訴人の住所は肩書の場所(編注・群馬県五郡吾妻町大字小泉五七西番地)もあることが認められるところ、右被担保債権の弁済をなすべき場所につき当事者間に別段の合意がなされたとの主張立証のない本件においては、債務の履行地は右住所の属する群馬県吾妻郡吾妻町になるが、同町には供託所がないから、同町以外の供託所に供託するほかないところ、地理的状況、交通の便などに則して判断すれば本局たる前橋地方法務局(群馬県前橋市所在)は被控訴大斉藤の佃所地からみて弁済供託をなすにつき相当の供託所に当たると解せられる。

もつとも右吾妻町に隣接する中之条町には供託所たる前橋地方法務局中之条支局が存し、距離的、時間的にみるかぎりでは右支局がいわゆる最寄りの供託所とみられるかの如きであるが、このこと直ちには前記本局をもつて弁済供託をなすについての相当の供託所であることを否定するものではない(前橋地方法務局が本件弁済供託を受理するについてなんらかの紛議を生じたと認めるに足る証拠はない。)。そうだとすれば、本件弁済供託は適法、有効であるといわざるをえない。」

(五)  原判決一二枚目裏二行目の次に左記を加入する。

「(五) また被控訴人らは、本件根抵当権設定者たる高橋とよは被控訴人斉藤に対し、控訴人が本件弁済供託をした昭和四一年二月二一日以前の同月二日に本件被担保債権につき代位弁済をし、すでに債務は消滅していたから、右供託によって代位は生じないと主張するが、右代位弁済の事実を認めるに足る証拠はない。」

(六)  原判決一二枚目裏三行目から一三枚目表六行目まで((五)の項)の全部を次のように改める。

「そうすると控訴人の被控訴人斉藤に対する法定代位による債権、抵当権移転に基づく本訴請求はすべて理由があるから、これを認容すべきである。しかるに原判決は、物件目録(一)、(三)の物件に関する登記請求及び書類目録記載の書類の引渡請求を棄却しており、不当である。」

二被控訴人日野に対する請求について

控訴人が被控訴人斉藤に対し、本件(一)の土地についての(イ)抵当権及び本件(三)の建物についての(ロ)抵当権につき本件弁済供託により法律上当然代位し、その設定登記の附記による移転登記請求権を有することは右に判示のとおりである。そうすると控訴人はその主張の被控訴人斉藤の被控訴人日野に対する登記抹消請求権を被控訴人斉藤に債権者代位する適格を有するものというべきである。しかるに原判決は、これと異つて控訴人につき右当事者適格を否定して、被控訴人日野に対する訴を不適法として却下しており、不当である。<以下、省略>

(田中永司 宮崎啓一 岩井康倶)

物件目録、登記目録、書類目録<省略>

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